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電子顕微鏡が解き明かす、髪の秘密

私たちの目には、つややかな絹糸のように滑らかに映る髪の毛。しかし、その実態は肉眼では捉えきれない、複雑で精巧な構造を秘めています。まるでミクロの世界に広がる、未知の宇宙のようです。髪の毛の本当の姿を鮮明に映し出すことができるのが、電子顕微鏡という魔法のレンズです。 電子顕微鏡は、光の代わりに電子線を当てて対象物を観察する装置です。光学顕微鏡よりもはるかに高い倍率で拡大できるため、これまで見えなかった髪の毛の微細な構造を克明に映し出すことができます。 例えば、髪の表面を覆うキューティクル。電子顕微鏡を通して見ると、魚の鱗のように何層にも重なった薄い板状の細胞で構成されていることが分かります。キューティクルは、外部からの刺激や乾燥から髪を守る、いわば髪のバリア機能を担っています。 さらに内部に目を向けると、繊維状のタンパク質が束になり、複雑に絡み合いながら髪を構成している様子が観察できます。このタンパク質の結合状態や水分量によって、髪の強度や弾力性が大きく左右されます。 電子顕微鏡を用いることで、髪の毛一本一本が、実は複雑な構造と機能を持つ、精巧な建築物のようなものであることを改めて実感することができます。
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