心理学

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香りで変わる?心地よい距離の科学

私たちは日々の生活の中で、視覚や聴覚といった感覚を通して多くの情報を得ています。しかし、五感の一つである「嗅覚」、つまり香りもまた、私たちの印象を左右する重要な要素です。例えば、ある香りを嗅ぐことで、過去の記憶が鮮やかに蘇ったり、特定の人物を思い出したりする経験は誰にでもあるのではないでしょうか。 しかし、視覚や聴覚と比べて、香りの感じ方は人それぞれであり、客観的に評価することが難しいという側面がありました。色や音のように、共通の尺度で香りを表現することが容易ではないためです。 そこで近年、化粧品や食品業界などで注目されているのが「パーソナルスペース法」という新しい評価方法です。この方法は、従来のように香りの成分分析や言語による表現に頼るのではなく、香りが作り出す空間的な広がりや奥行きといった、より感覚的な側面に着目しています。具体的には、ある香りを嗅いだ時に、その香りがどれくらいの距離まで広がるように感じるか、どの程度の奥行きを感じるかなどを評価することで、香りの印象を数値化します。 パーソナルスペース法は、まだ新しい評価方法ではありますが、従来の手法では捉えきれなかった香りの感情的な側面を評価できる可能性を秘めています。この手法のさらなる発展によって、今後、よりパーソナルな香りの体験を提供できるようになるかもしれません。
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その他

ストループテスト:肌へのストレスの影響を探る

- 化粧品研究における意外なツール「ストループテスト」と聞いて、緑色で書かれた「赤」という文字や、赤色で書かれた「青」という文字を思い浮かべた方は、心理学に関心をお持ちかもしれませんね。色のついた単語の色と意味が一致しないように提示されるこのテストは、本来、人間の認知能力を測るために心理学の分野で使われてきました。しかし近年、意外にも化粧品科学の分野で注目を集めているのです。肌は、心と密接に繋がっている臓器と言われています。ストレスを感じると肌が荒れたり、ニキビができやすくなったりする経験をしたことはありませんか? 実は、ストレスと肌の関係は科学的にも証明されつつあります。ストレスを受けると、体内で cortisol というホルモンが分泌されます。cortisol は、皮脂の分泌を増加させたり、炎症を引き起こしたりするなど、肌に悪影響を与えることが知られています。そして、ストループテストは、このストレスと肌の関係を科学的に解明する上で役立つツールなのです。ストループテストを実施する際に、脳波計や皮膚の電気伝導率を測定する機器などを用いることで、被験者がストレスを感じている度合いを客観的に評価することができます。さらに、ストループテストの実施前後に肌の状態を比較することで、ストレスが肌に及ぼす影響を詳細に分析することが可能になります。化粧品開発の現場では、これまで以上に消費者の肌への優しさや、心の状態に寄り添う製品が求められています。ストループテストは、心の状態が肌に与える影響を科学的に解明することで、ストレスに負けない、より健康的で美しい肌を実現するための新たな化粧品の開発に貢献していくことが期待されています。
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