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化粧品
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毎日のように使う化粧品だからこそ、肌に負担をかけない優しいものを選びたいですよね。しかし、誰もが一度は悩んだことがある肌トラブルの代表格であるニキビは、実は毎日使う化粧品が原因で引き起こされることもあるのです。
ニキビは、毛穴に古い角質や皮脂などの汚れが詰まることで発生します。そして、この毛穴詰まりの原因の一つとして、化粧品に含まれる特定の成分が影響している可能性があるのです。
このような事態を防ぐため、化粧品開発の現場では「コメド形成能試験」と呼ばれる試験が実施されています。この試験は、開発中の化粧品がニキビの原因となる毛穴詰まりをどの程度引き起こすのかを評価するものです。
つまり、「コメド形成能試験」は、私たちが安心して化粧品を使うために、そしてニキビなどの肌トラブルから肌を守るために、化粧品開発において非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。
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化粧品開発の強い味方!KOSMETデータベースとは
化粧品の研究開発に携わる技術者の皆様、日々の業務の中で膨大な情報と格闘されているのではないでしょうか。新しい成分、最新の技術、そして市場トレンドなど、把握しなければならない情報は多岐に渡ります。
そんな化粧品技術者の皆様にとって心強い味方となるのが、「KOSMET」というデータベースです。
KOSMETは、世界中の化粧品技術者が集う国際化粧品技術者会連盟が提供する、化粧品科学と技術情報に特化したデータベースです。1985年以降に発表された論文や特許情報など、30年以上にわたる膨大なデータが蓄積されています。そのため、KOSMETを利用すれば、必要な情報を効率的に得ることができ、時間と労力の節約に繋がります。
KOSMETは、単なるデータベースではありません。このデータベースは、世界中の化粧品技術者をつなぐ、巨大な知識共有プラットフォームとしての役割も担っています。過去の研究成果や最新の技術動向をKOSMETで共有し、活用することで、化粧品技術のさらなる発展に貢献できると期待されています。
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実は知らない?黒皮症とその予防法
- 黒皮症とは黒皮症とは、顔、特に頬や額、こめかみなどに、網目状の色素沈着が現れる皮膚の病気です。 しみのような斑点ではなく、網の目のように広がるのが特徴です。 色は、褐色や灰色、黒色など、人によって様々です。 黒皮症は、接触皮膚炎の一種と考えられています。 これは、特定の物質が皮膚に触れることで、皮膚に炎症が起こることを指します。 黒皮症の原因となる物質としては、化粧品やヘアケア用品、香水、日焼け止めなどが挙げられます。 また、食品や医薬品、金属なども、原因となることがあります。 黒皮症は、命に関わる病気ではありませんが、見た目の問題から、精神的なストレスを抱えてしまう方も少なくありません。 黒皮症の治療には、ステロイド外用薬や色素沈着を薄くする塗り薬などが用いられます。 また、原因となる物質を特定し、接触を避けることも重要です。
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世界の化粧品研究をリードする日本の力
- 国際化粧品技術者会連盟とは
国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)は、世界中の化粧品技術者たちが集まり、情報交換や交流を行う国際的な団体です。1959年に8ヶ国の団体で設立され、現在では42ヶ国、約13,500人もの会員が所属しています。これは、IFSCCが世界中の化粧品技術者にとって重要な役割を担っていることを示しています。
IFSCCは、化粧品技術の進歩や発展、安全性の向上などを目的としています。具体的には、会員向けのセミナーやワークショップの開催、学術誌の発行、国際会議の開催などを行っています。
特に、2年に一度開催される国際会議は、化粧品業界において最も権威のあるイベントの一つとして広く認知されています。この会議には、世界中から集まった研究者たちが最新の研究成果を発表するため、化粧品業界の最新動向や技術革新を知る貴重な機会となっています。
IFSCCは、国際的な協力体制のもと、人々の美と健康に貢献するため、日々、化粧品技術の向上に励んでいます。
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化粧品の香りの秘密:香料の役割と効果
- 香料の種類化粧品に使われる香りは、私たちの心を和ませたり、気分を高めたりする効果があります。しかし、その香りの正体である「香料」について詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか? 実は、化粧品の香料には、大きく分けて三つの種類があります。一つ目は、花や果実、ハーブなど、自然の恵みから抽出された「天然香料」です。バラやラベンダーのような花の香り、レモンやオレンジといった柑橘系の香り、森林浴をしているようなヒノキの香りなど、その種類は多岐に渡ります。天然香料は、自然の恵みならではの、優しく奥深い香りが特徴です。二つ目は、化学的に合成された「合成香料」です。天然には存在しない香りを作ることができたり、天然香料よりも安価に安定して供給できるというメリットがあります。香水やボディソープ、シャンプーなど、様々な化粧品に使われており、私たちの生活に深く浸透しています。そして三つ目は、天然香料と合成香料を組み合わせて作られた「調合香料」です。調合香料は、それぞれの香料の特徴を活かし、より複雑で奥行きのある香りを作り出すことができます。例えば、天然香料の優しい香りに、合成香料でアクセントを加えたり、香りの持続性を高めたりすることができます。このように香料には、それぞれ異なる特徴があります。化粧品を選ぶ際には、香りの種類にも注目してみると、より一層楽しむことができるでしょう。
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地球にもお財布にも優しい!化粧品レフィル活用術
毎日のように使う化粧品。使い終わったら容器ごと捨ててしまうのは、少しもったいないと感じませんか?そんな悩みを解決してくれるのが、詰め替え式の「レフィル」です。使い慣れたコンパクトケースなどはそのままに、中身だけを新しいものに入れ替えることができます。
レフィルを使う最大のメリットは、資源の節約とゴミの削減という観点でしょう。従来のように使い捨てではなく、容器を繰り返し使うことで、新しい容器を作るために必要な資源やエネルギーを抑えられます。また、ゴミの量自体も減るので、焼却や埋め立てによる環境負荷を軽減することに繋がります。
近年、世界中で環境問題への意識が高まっています。地球温暖化や海洋プラスチック問題など、私たちを取り巻く環境問題は深刻化しており、その解決のためには、一人ひとりの行動変容が求められています。日々の生活の中で、無理なく始められるエコ活動として、化粧品を選ぶ際に「レフィル」という選択肢を取り入れてみてはいかがでしょうか?それは、地球の未来を守るための、小さくても確実な一歩となるはずです。
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光で肌色変化!?フォトクロミック化粧品の秘密
「フォトクロミック」という言葉を耳にしたことはありますか?これは、光によって物質の色が変化し、その後もとの色に戻る現象のことです。まるでカメレオンのように、周囲の光に合わせて色が変わるなんて、なんだか魔法みたいですよね。
この不思議な現象は、特定の物質が紫外線などの光を吸収すると、その分子構造が変化することで起こります。物質は光を吸収すると、そのエネルギーによって分子が不安定な状態になり、形を変えるのです。そして、光が遮断されると、分子は吸収したエネルギーを放出して安定な状態に戻り、色も元に戻ります。
このフォトクロミック現象は、私たちの身の回りでも活用されています。例えば、サングラスのレンズや調光ガラスなどに応用され、日差しが強い時は色が濃く、室内など暗い場所では色が薄くなることで、目に入る光の量を調節しています。また、繊維や塗料、インクなどにも利用され、紫外線対策や偽造防止など、幅広い分野で活躍しています。
このように、フォトクロミックは私たちの生活に役立つだけでなく、未来の技術開発にもつながる可能性を秘めた、興味深い現象と言えるでしょう。
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化粧品のスティンギング試験:その役割と課題
- 肌への刺激を評価するスティンギング試験とは?
新しい化粧品や洗顔料を選ぶとき、それが自分の肌に合うかどうかは、とても大切なことです。
刺激の強いものを知らずに使ってしまい、肌がひりひりしたり、かゆくなったり、赤くなってしまったりしたら大変です。
このような、肌に直接触れたときに感じる刺激を調べるために、スティンギング試験というものがあります。
これまで、化粧品や洗顔料による肌への影響を調べる試験としては、パッチテストが一般的でした。
これは、肌に直接試験物質を貼って、時間が経った後に赤みや腫れなどの変化を見るという方法です。
しかし、パッチテストでは、ひりひり感やかゆみ、熱さといった、実際に触れたときに感じる刺激を正確に捉えることができませんでした。
そこで、スティンギング試験では、被験者の方に実際に試験物質を肌に塗布してもらい、その時に感じる感覚を直接評価していただきます。
「ひりひりする」「かゆい」「熱い」といった感覚を、どの程度感じるのかを、時間経過とともに細かく記録していくことで、その化粧品や洗顔料が、実際に使用した際にどのような刺激を与えるのかを、より具体的に知ることができるのです。
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化粧品の使い心地を決める「降伏値」とは?
毎朝肌に触れるクリーム。その心地よい滑らかさ、とろけるような感触にうっとりする方も多いのではないでしょうか?実は、この気持ちよさの秘密は「降伏値」と呼ばれる指標に隠されています。
降伏値とは、物質が形を保つことのできるギリギリの力のことを指します。硬いゼリーを想像してみてください。スプーンで軽く押すと表面はへこみますが、ゼリー自体はその形を保っていますよね。しかし、ある一定以上の力を加えると、ゼリーは崩れて流れ始めます。この、固体から液体へと変化する境目の力、これがまさに降伏値なのです。
クリームも同じです。指で軽く触れたときには形を保ちますが、少し力を加えると、肌の上でなめらかに伸び広がります。この時、降伏値が低いクリームほど、少ない力で伸び広がり、滑らかな感触を得られるのです。反対に、降伏値が高いクリームは、硬く感じたり、伸びが悪く感じたりすることがあります。
つまり、私たちがクリームを選ぶ際に重視する「滑らかさ」や「気持ちよさ」は、この降伏値と密接に関係しているのです。
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化粧品の「滅菌」:安心・安全のその先へ
私たちの身の回りには、目には見えない微生物が無数に存在しています。空気中や身の回りの物の表面はもちろんのこと、私たちの肌にも、常に一定数の菌が住み着いています。これらの微生物は、普段は私たちに害を及ぼすことなく、むしろ体に良い影響を与えるものも少なくありません。しかし、中には製品に付着したり、繁殖したりすることで、その品質を低下させてしまったり、私たちの健康に悪影響を及ぼすものも存在します。
特に、肌に直接使用する化粧品は、これらの微生物による汚染を防ぎ、安全性を保つことが非常に重要になります。
化粧品は、その使用目的から、私たちの肌と密接に関わります。そのため、もしも化粧品に有害な微生物が繁殖していた場合、肌トラブルを引き起こす可能性があります。例えば、ニキビや吹き出物の悪化、かゆみ、赤み、炎症などが挙げられます。また、重症化すると、皮膚感染症を引き起こす可能性も否定できません。
このような事態を防ぐため、化粧品の製造過程においては、徹底した衛生管理が求められます。原料の選定から製造工程、そして最終製品の検査に至るまで、あらゆる段階で微生物の混入を防ぐための対策が講じられています。
また、私たち消費者が、日頃から適切な方法で化粧品を保管、使用することも大切です。清潔な手で扱い、使用後は容器の口をしっかりと閉める、直射日光や高温多湿を避けて保管するなど、微生物の繁殖を抑えるための工夫を心掛けましょう。
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リフトアップで目指せ!-5歳肌
年齢を重ねるごとに、鏡を見るのが憂鬱になることはありませんか?かつてはハリと弾力があった肌も、重力には逆らえず、たるみやシワが目立ってくる…。そんな悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。たるみは顔の印象を大きく左右するだけでなく、実年齢よりも老けて見られる原因の一つでもあります。
顔のたるみは、肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンといった成分が、加齢とともに減少することが原因の一つです。紫外線や乾燥、不規則な生活習慣なども、肌の老化を促進させる要因となります。
たるみを改善するためには、肌の土台からケアすることが大切です。コラーゲンの生成を促す美容成分配合の化粧品を使用したり、顔の筋肉を鍛えるマッサージを取り入れたりすることで、肌のハリと弾力を取り戻す効果が期待できます。
また、毎日の生活習慣を見直すことも重要です。十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけ、紫外線対策をしっかり行うことで、肌の老化を予防し、若々しい印象を保ちましょう。
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化粧品とホルモンの関係
- ホルモンとは?
私たちの体には、健康を保ち、さまざまな活動を行うために、驚くほど精巧なシステムが備わっています。その中で、体の機能を調整する指揮者のような役割を担っているのが「ホルモン」です。
ホルモンは、体内にある特定の器官で作られる化学物質です。ごく微量でも非常に強力な働きを持ち、血液に乗って全身を巡りながら、離れた場所にある細胞や器官に特定のメッセージを伝えます。
ホルモンが伝えるメッセージによって、私たちの体は成長や発達、代謝、睡眠、生殖など、生きていく上で欠かせない様々な機能を調節しています。例えば、成長ホルモンは骨や筋肉の成長を促し、女性ホルモンは月経周期や妊娠、出産に関わっています。
このように重要な役割を担うホルモンですが、そのバランスはストレスや加齢、生活習慣の乱れなどによって簡単に崩れてしまうことがあります。ホルモンバランスの乱れは、肌荒れや生理不順、イライラしやすくなるなど、心身に様々な影響を及ぼす可能性があります。
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化粧品の品質を守る!安定性試験とは?
私たちが毎日肌に使う化粧品は、常に安全で高品質なものでなければなりません。しかし、化粧品は温度や湿度、光などの外部環境の影響を受けやすく、品質が変化しやすいという側面も持っています。品質が変化すると、期待していた効果が得られなくなったり、肌に刺激を感じたりする可能性もあります。
そこで重要な役割を担うのが「安定性試験」です。これは、化粧品の品質がどのくらいの期間、適切な状態を保てるのかを調べるための試験です。具体的には、高温や低温、高湿度の環境に一定期間置いたり、光を照射したりして、品質の変化を観察します。
安定性試験には、大きく分けて「長期保存試験」と「加速試験」の二つがあります。長期保存試験は、実際に商品として販売する際の保管条件を想定し、室温で長期間(例えば1年~3年)、製品の品質変化を観察するものです。一方、加速試験は、より短期間で品質の変化を予測するために、高温や高湿など、あえて厳しい条件で試験を行います。
これらの試験によって、化粧品の品質が保証され、安心して使えるようになっているのです。
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香りの魔法:化粧品香料の世界
- 香粧品香料とは?
香粧品香料とは、香水や化粧品、トイレタリー製品など、食品以外の日用品に香りを与えるために特別に調合された香料のことです。私たちの身の回りには、心地よい香りに包まれた製品がたくさんありますが、それらの多くに香粧品香料が使用されています。
朝、顔を洗う洗顔料や、髪を洗うシャンプー、体を洗うボディソープなど、香りを楽しみながら使う製品には、ほとんどの場合、香粧品香料が使われています。また、毎日のように使うハンドクリームや日焼け止めにも、香粧品香料が使われていることが多く、ほのかな香りが、使うたびに私たちを豊かな気分にさせてくれます。
香粧品香料は、天然の原料から抽出した精油(エッセンシャルオイル)や、人工的に合成された香料などを組み合わせて作られます。そして、製品のイメージや使用シーン、香りの持続性などを考慮して、様々な香料が調合されます。例えば、リラックス効果を狙った製品にはラベンダーやカモミールの香り、気分をリフレッシュしたい時用の製品には柑橘系の香りが用いられるなど、香りの力は私たちの心に様々な影響を与えます。
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リキッドチークで叶える、内側から滲む自然な血色感
- 話題のリキッドチークの魅力とは?
リキッドチークとは、その名の通り液体の状態をした頬紅のことです。従来の粉状のチークと比べて、肌へのなじみが良く、まるで肌の内側から自然に上気したような、健康的な血色感を演出できるのが最大の魅力です。
リキッドチークの大きな特徴は、そのみずみずしい質感にあります。肌にのせると、まるで美容液のようにするすると伸びていき、肌にピタッと密着します。そのため、粉っぽさがなく、自然なツヤと潤いのある、生き生きとした肌を演出することができます。
また、リキッドチークは、重ね付けすることで仕上がりを自在に変えられるのも嬉しいポイントです。頬の高い位置に少量をのせて、指先でポンポンと軽く叩き込むようになじませれば、ナチュラルな血色感を演出できます。さらに、重ね付けすることで、色の濃淡を調整したり、発色を長時間キープしたりすることも可能です。
さらに、粉状のチークの上から重ねることで、チークの発色をさらに高めたり、色持ちを良くしたりすることもできます。
このように、リキッドチークは、自然な血色感とツヤやかな肌を演出してくれる、今注目のアイテムです。
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化粧品の色の秘密:表色系とその役割
私たちが普段見ている色、例えば、空の青、りんごの赤、それらはすべて、光が物体に当たって反射し、その反射光が目に入ることで認識されています。しかし、同じ色を見ていたとしても、人によってその感じ方や表現の仕方が異なることがあります。そのため、自分が見ている色を相手に正確に伝えることは、実は容易ではありません。
そこで重要になってくるのが「表色系」です。表色系とは、色を数値や記号を用いて客観的に表現するためのシステムのことです。色の三属性である「色相」「明度」「彩度」を軸として、色を座標のように位置づけることで、誰にとっても分かりやすい色の表現を可能にします。
表色系には、マンセル表色系、PCCS、RGBなど、様々な種類が存在します。それぞれの特徴や用途があり、例えば、印刷やデザインの分野ではDICやCMYKといった表色系が用いられることが多いです。
このように、表色系は色の共通認識を可能にするためのツールとして、様々な場面で役立っています。私たちの身の回りにある製品、例えば、洋服や化粧品、スマートフォンなども、この表色系を用いて色が決められています。表色系を知ることで、より深く色について理解することができます。
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化粧品開発の裏側:標準操作手順書
艶やかな肌や、見る人の心を奪う魅力的な目元を演出してくれる化粧品。その開発の裏側では、品質と安全性を確固たるものにするための様々な取り組みが日々行われています。まるで舞台裏を支えるスタッフのように、表舞台に出ることはほとんどありませんが、製品の信頼性を陰ながら支える重要な要素、それが「標準操作手順書」です。
英語では「Standard Operating Procedures」、略して「SOP」と呼ばれるこの手順書は、化粧品の製造工程におけるあらゆる作業について、手順、注意点、使用する機器や材料などを詳細に定めたものです。
例えば、美容液の製造工程を例に考えてみましょう。「標準操作手順書」には、原料の計量から混合、加熱、冷却、充填に至るまで、それぞれの作業について詳細な手順が規定されています。
「標準操作手順書」の目的は、製造工程におけるばらつきを最小限に抑え、常に一定の品質の製品を供給することです。手順を明確化し、誰でも理解できるようにすることで、経験の浅い作業員でも、熟練の技術者と同じように高品質な製品を製造することが可能になります。
また、「標準操作手順書」は、製品の安全性を確保する上でも重要な役割を担っています。例えば、原料の保管方法や使用期限、製造工程における衛生管理など、安全性を確保するための重要なポイントが手順書に明記されています。
このように、「標準操作手順書」は、化粧品の品質と安全性を支える上で欠かせない存在です。私たちが安心して美しさを追求できるのも、陰ながら製品を支える「標準操作手順書」の存在があってこそと言えるでしょう。
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化粧品の色の秘密:分光測色計の役割
私たちは普段、自分の目で見た色をそのまま認識しています。青空を見れば青い、夕焼けを見れば赤い、というように、視覚を通して色を感じ取っています。しかし、化粧品開発の世界においては、この「見たままの色」だけでは不十分です。なぜなら、人の目は主観的な感覚に左右されやすく、同じ色を見ても人によって感じ方が異なってしまうからです。また、照明や周囲の環境によって色の見え方が変化することも、色の認識を複雑にしています。例えば、太陽光の下で見る口紅の色と、室内灯の下で見る色では、同じ口紅でも違って見えてしまうことがあります。
このような色の見え方の個人差や環境による変化は、化粧品開発において大きな問題となります。新しいファンデーションの色を決める際、開発者の主観だけで色を決めてしまうと、他の人の目には全く違う色に映ってしまうかもしれません。また、せっかく美しい色の口紅を開発しても、照明によって色が変わってしまっては、本来の魅力が伝わりません。そこで登場するのが分光測色計です。分光測色計は、光をあらゆる波長に分けて色の変化を数値化する機械です。この機械を使うことで、人の目に影響されることなく、客観的な色の測定が可能になります。分光測色計の登場は、化粧品開発における色の評価を大きく変え、より正確で安定した色の表現を可能にしました。
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ネイルエナメルの持ちを科学する:被膜引っ張り試験
- 被膜引っ張り試験とは
美しい指先を彩るネイルエナメル。せっかく塗ったのに、すぐに剥がれてしまうのは残念ですよね。そこで重要になるのが、ネイルエナメルの「持ち」です。この「持ち」を評価する試験の一つに、被膜引っ張り試験があります。
被膜引っ張り試験とは、その名前の通り、ネイルエナメルなどの被膜を引っ張って強度や伸びを調べる試験です。専用の機械を使って被膜をゆっくりと引っ張り、どれだけの力で破断するかを測定します。この時の力の大きさを「引張強度」と呼び、数値が大きいほど、強い被膜であると言えます。
また、破断するまでにどれくらい伸びるかも重要な指標です。これは「伸び」と呼ばれ、伸びが大きいほど、柔軟性があり、割れにくい被膜であると言えます。
つまり、被膜引っ張り試験によって、被膜の強さと柔軟性を数値化することで、ネイルエナメルの「持ち」を客的に評価することができるのです。
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メイクを鮮やかに!スペーサー効果で彩度アップ
- スペーサー効果とは化粧品の色味を左右する要素は、配合されている色素だけではありません。近年注目されている「スペーサー効果」は、まるで魔法のように化粧品の仕上がりを格段に向上させる技術です。一見難しそうな言葉に聞こえますが、仕組み自体はシンプルです。色を表現する色素粒子と色素粒子の間に、適切な大きさを持つ「体質顔料」と呼ばれる粒子を混ぜ込むことで、光が美しく反射・散乱し、鮮やかな発色を実現します。従来の化粧品では、色素粒子を凝縮させて色を濃くしようとすると、光が乱反射してしまい、濁った色合いや粉っぽさが目立つという問題がありました。しかし、スペーサー効果によって、色素粒子が密集することなく、光が効率的に反射・散乱されるため、透明感のある鮮やかな発色と、なめらかで均一な仕上がりを実現できるようになったのです。この革新的な技術は、アイシャドウ、チーク、リップなど、様々な化粧品に応用され、これまで以上に美しい発色と質感を実現しています。ぜひ、一度その効果を自身の目で確かめてみて下さい。
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ファンデーションの選び方:隠ぺい力の秘密
- 隠ぺい力とは?肌の悩みを美しくカバーしてくれるファンデーション。しかし、ひとくちにファンデーションといっても、商品によって仕上がりはさまざまです。そこで重要になるのが「隠ぺい力」。これは、ファンデーションが、シミやくすみ、色ムラといった肌の悩みをどれだけ自然にカバーしてくれるのかを表す指標です。隠ぺい力は、大きく分けて「高い」「低い」の2種類で表現されます。隠ぺい力が高いファンデーションは、少量でもしっかりと肌悩みをカバーしてくれます。そのため、シミやそばかす、ニキビ跡などが気になる方におすすめです。一方、隠ぺい力が低いファンデーションは、厚塗りになりにくく、ナチュラルな仕上がりになるのが特徴です。肌の赤みや毛穴など、ほんのりカバーしたい方や、素肌感を残したい方におすすめです。隠ぺい力は、ファンデーションに含まれる色素の量や種類、粒子の大きさなどによって変化します。一般的に、色素が多く含まれているものや、粒子が細かいほど、隠ぺい力は高くなります。ファンデーションを選ぶ際には、自分の肌質や仕上がりのイメージに合った隠ぺい力であるかどうかも重要なポイントです。自分の肌にぴったりのファンデーションを見つけて、美しい肌を手に入れましょう。
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化粧品の仕上がりを左右する「被膜硬度」
毎日のように使う化粧品を選ぶとき、どんな仕上がりにしたいかを考えますよね。サラサラとした感触が好きだったり、しっとりとした潤いが欲しいと思ったり、あるいはしっかりとした仕上がりを求めたりと、人によって好みは様々です。そして、実際に化粧品を使ったときに感じる「仕上がり」は、商品選びにおいてとても重要な要素と言えるでしょう。実は、この仕上がりに大きく影響を与えている要素の一つに「被膜硬度」というものがあります。聞き慣れない言葉かもしれませんが、その名の通り、化粧品が肌や髪の上で作る薄い膜の硬さを表す指標です。
目には見えませんが、この被膜の硬さの違いが、仕上がりの質感や、その状態がどれくらい続くのかといった持続性に影響を与えているのです。例えば、口紅の場合、被膜硬度が高いと、カップに色がつきにくく、つけたての状態が長く続きます。一方、リップクリームのように、潤いを重視した商品は、被膜硬度が低めに設定されているため、唇の上でとろけるようになじみ、自然なツヤを与えます。このように、同じ化粧品でも、用途や仕上がりのイメージに合わせて、被膜硬度は調整されているのです。
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輝きの秘密:光学異方性とは?
「光学異方性」って、なんだか難しそうな言葉に聞こえますよね? でも、その仕組みはとても綺麗なんです。
私たちの周りにある物質は、光が当たると、その一部を反射します。
例えば、真っ赤なリンゴに光が当たると、赤い光だけが反射して、私たちの目に届くので、リンゴは赤く見えます。
実は、物質によって、どの方向から来た光を反射するのか、というのが違うんです。
そして、光学異方性を持つ物質は、見る角度によって、反射する光の波長が変わるため、違う色に見えたりするんですよ!
わかりやすく例えると、シャボン玉を想像してみてください。
シャボン玉は、見る角度によって、ピンクや緑など、様々な色に見えますよね?
これは、シャボン玉の膜が光学異方性を持ち、見る角度によって異なる波長の光を反射するからです。
このように、光学異方性を持つ物質は、光を当てるだけで、まるで魔法のように色が変化する、不思議な力を持っているんです。
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化粧品の分離を防ぐ!合一とその対策とは
毎日のスキンケアに欠かせない化粧水や乳液、クリーム。お気に入りの化粧品であればあるほど、長く使い続けたいものですよね。しかし、時間が経つにつれて、中身が分離してしまったり、質感が変わってしまったりする経験はありませんか?
実はこれ、化粧品にとって避けて通れない「合一」という現象が関係しているかもしれません。「合一」とは、本来混ざり合っているはずの成分が分離してしまう現象のことです。
化粧品は、水と油のように、本来は混ざり合わない成分を、界面活性剤などを用いて均一に混ぜ合わせています。しかし、時間の経過や温度変化、紫外線などの影響によって、成分のバランスが崩れ、分離してしまうことがあります。これが「合一」です。
合一が起こると、化粧品の見た目や使用感が悪くなるだけでなく、品質が劣化し、本来の効果が得られなくなることもあります。例えば、クリームが分離すると、油分と水分が偏り、肌馴染みが悪くなったり、ベタつきや乾燥を感じやすくなったりする可能性があります。
このような化粧品の分離を防ぐためには、直射日光や高温多湿を避けて保管すること、使用後は容器の口を清潔に保つことなどが大切です。また、開封後はできるだけ早めに使い切るようにしましょう。
もし、お使いの化粧品に、分離や変色、異臭などの変化が見られた場合は、使用を中止してください。
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