伝統化粧

ファンデーション

美の遺産、伊勢白粉の魅力に迫る

「伊勢白粉」と聞いて、それが一体どんなものかご存じの方はどれくらいいらっしゃるでしょうか? 伊勢白粉は、その名の通り、かつて伊勢地方で作られていた白い粉です。現代で使われているファンデーションのルーツとも言えるでしょう。白い肌が美しいとされた時代、人々はこぞってこの伊勢白粉を求めました。 伊勢白粉の誕生は古く、飛鳥時代まで遡ると言われています。当時の貴族たちは、米粉や白土を顔に塗って白さを競い合っていました。その後、製法や原料が改良され、江戸時代に入ると、伊勢白粉は最高級の化粧品として広く知られるようになりました。 伊勢白粉の原料は、もち米です。もち米を蒸して乾燥させ、それを何度も水に浸して発酵させる、という大変な手間暇をかけて作られます。この複雑な工程によって、伊勢白粉は独特のきめ細やかさと白さを実現していたのです。 伊勢白粉の魅力はその白さだけではありません。肌への優しさも大きな特徴でした。現代のファンデーションのように、毛孔を塞いでしまうことがないため、肌への負担が少なく、使い続けることで肌本来の美しさを引き出す効果もあったと言われています。 時代の流れとともに、伊勢白粉は姿を消してしまいましたが、その美への追求と伝統は、現代の化粧品にも受け継がれています。
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