脱色剤で叶える、憧れのヘアカラー
- 脱色剤の仕組み
私たちの髪の毛は、一見シンプルな構造に見えて、実は奥深いものです。中心部には、空洞になっている場合もある「毛髄質(もうずいしつ)」、その周りを包む「毛皮質(もうひしつ)」、そして最も外側を覆う「毛小皮(もうしょうひ)」の3層構造で成り立っています。まるで木の幹のように、中心から外側に向かって層を成しているのです。そして、私たちが普段目にする髪の色は、この「毛皮質」に存在するメラニン色素によって決まります。
メラニン色素には、黒髪に多く含まれる「ユーメラニン」と、赤毛に多く含まれる「フェオメラニン」の二種類があります。これらのメラニン色素の量や割合の違いが、黒髪や金髪、茶髪といった、個性豊かな髪色を生み出す源となっているのです。
脱色剤はこのメラニン色素に直接働きかけます。脱色剤に含まれる過酸化水素は、メラニン色素を分解する力を持っています。この過酸化水素が毛皮質に浸透し、メラニン色素を分解することで、髪の色は徐々に明るくなっていくのです。例えるならば、黒いインクで描かれた絵に、色を抜く薬品を使うと、インクの色素が分解され、絵が薄くなっていく様子と似ています。
しかし、メラニン色素の分解は、同時に髪の毛自体にも負担をかけることになります。髪の強度やツヤを保つ上で重要な役割を担うタンパク質も、過酸化水素の影響を受けてしまう可能性があるからです。そのため、脱色を繰り返すと、髪がパサついたり、切れやすくなったりすることがあります。美しい髪色を保ちつつ、健康な髪を維持するためには、脱色剤の適切な使用方法や、その後のヘアケアが重要になってくるのです。