クレンジングの秘密！転相って？

化粧品における転相とは

– 化粧品における転相とは化粧品、特にクリームや乳液は、水と油のように本来は混ざり合わない成分を、界面活性剤の働きによって均一に混ぜ合わせて作られています。この時、水の中に油の粒が細かく分散した状態を水中油型（O/W型）と呼びます。身近な例では、牛乳やマヨネーズがこの状態です。逆に、油の中に水の粒が細かく分散した状態を油中水型（W/O型）と呼び、バターやマーガリンがこの状態です。転相とは、クリームや乳液の製造過程や使用中に、この水中油型と油中水型の状態が入れ替わる現象を指します。例えば、製造過程で撹拌の条件を変えたり、温度が変化したりすることで転相が起こることがあります。また、使用の際に肌に強く擦り込むことで転相が起こることもあります。転相が起こると、クリームや乳液の外観や使用感が変化することがあります。例えば、水中油型から油中水型に転相すると、よりこってりとした質感になり、肌への密着感が高まります。逆に、油中水型から水中油型に転相すると、さっぱりとした質感になり、伸びが良くなるといった変化が現れます。化粧品開発においては、これらの特性を理解した上で、製品の用途や目的、使用感に合わせて最適な状態になるように、成分の配合や製造方法を調整することが重要です。

クレンジングと転相の関係

毎日のメイクを落とすために欠かせないクレンジングですが、肌に馴染ませる時の滑らかな感触と、しっかりメイクを落とす効果を両立させるために、実は工夫が凝らされています。

クレンジングクリームの多くは、肌に馴染みやすくするために、チューブから出したばかりの状態では、水分を多く含んだ水中油型という構造になっています。これは、小さな油滴が水の膜に包まれた状態を指します。

この水中油型のクレンジングを肌に塗ってマッサージしていくと、手の熱や摩擦によって水分が蒸発し、相対的に油の割合が多くなっていきます。すると、油中水型という構造に変化するのです。油中水型とは、逆に小さな水滴が油の膜に包まれた状態のことを指し、油になじみやすい性質を持ちます。

この性質の変化こそが、クレンジングの洗浄力を高める鍵となります。油中水型になったクレンジングは、ファンデーションや口紅といった油性のメイク汚れを効果的に包み込み、肌から浮き上がらせてくれるのです。

そして、最後に水を加えると、再び水中油型に戻ります。この時、包み込まれていたメイク汚れも一緒に水に溶け出すため、肌に負担をかけることなく、綺麗に洗い流すことができるのです。

このように、クレンジングは、転相と呼ばれる性質の変化を巧みに利用することで、快適な使用感と高い洗浄力を両立させているのです。

温度変化による転相

– 温度変化による転相

化粧品のテクスチャーや使い心地を大きく左右する要素の一つに「転相」があります。転相は、水と油のように本来混ざり合わないものが、ある条件下で混ざり合った状態から分離した状態、あるいはその逆へと変化することを指します。

転相が起こる要因は、水分が蒸発することだけではありません。温度変化によって転相が起こるケースもあります。これは、温度によって性質が変化する界面活性剤が関係しています。

界面活性剤には、水と油のどちらと馴染みやすいかを表す指標として「HLB（親水性親油性バランス）」があります。温度変化によってこのHLBが変化するタイプの界面活性剤を用いることで、温度に応じた転相を人為的にコントロールすることが可能になります。

例えば、冷却することで油の中に水が分散した状態（油中水型W/O型）から、水の中に油が分散した状態（水中油型O/W型）へと転相する化粧品も開発されています。

このように、温度変化を利用した転相技術は、化粧品の機能や使用感を向上させるための重要な技術と言えるでしょう。