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プルキンエシフト:夜になると世界の色が変わる?

コスメを知りたい

先生、「プルキンエシフト」って、化粧品の成分じゃないですよね?なんだか目の見え方と関係があるみたいなんですけど…

コスメ研究家

よく気がつきましたね!その通りです。「プルキンエシフト」は目の錯覚現象で、化粧品の成分ではありません。簡単に言うと、明るい場所では赤色が鮮やかに、暗い場所では青色が鮮やかに見える現象のことです。

コスメを知りたい

そうなんですね!じゃあ、なんで化粧品の成分と一緒に説明されていたんでしょう?

コスメ研究家

恐らく、夕方や夜など、照明が薄暗い状況での化粧の見え方を説明するために、参考にされていたのかもしれませんね。プルキンエシフトを考えると、暗い場所では青みがかったメイクは実際よりも明るく見える可能性があります。

夕暮れ時、色の見え方が変わる理由

夕暮れ時、色の見え方が変わる理由

夕暮れ時、空の色が刻一刻と変化していく様は、息を呑む美しさです。あたりが少しずつ暗くなっていくと、不思議なことに、昼間はあたりまえのように見えていた景色が、全く違う顔を見せることがあります。特に、青や緑といった寒色系の色が、赤や黄色といった暖色系の色よりも明るく鮮やかに感じられるようになることに気づいたことはありませんか?

これは、「プルキンエシフト」と呼ばれる視覚現象によるものです。人の目は、明るい場所では主に「錐体細胞」と呼ばれる視細胞が働き、色を識別しています。一方、暗い場所では「桿体細胞」という視細胞が活躍し始めます。

この桿体細胞は、錐体細胞よりも光の感度が高く、薄暗い中でも物を見ることを可能にします。しかし、桿体細胞は青緑色の光に対して特に敏感であるため、夕暮れ時のような薄暗い環境では、青や緑といった寒色系の色が、他の色に比べて明るく鮮やかに見えるようになるのです。

日常で何気なく経験しているこの現象ですが、私たちの目は、周囲の明るさによって、色の感じ方が変化するようにできているという、人間の視覚の神秘に触れることができる興味深い現象と言えるでしょう。

明るさ 働く視細胞 色の見え方
明るい場所 錐体細胞
暗い場所 桿体細胞 青や緑(寒色系)が明るく鮮やかに見える(プルキンエシフト)

網膜の働きとプルキンエシフト

網膜の働きとプルキンエシフト

私たちの視覚を支える器官、眼球。その奥に広がる網膜には、光を感知する特殊な細胞が存在します。それが、桿体細胞と錐体細胞と呼ばれる2種類の光受容細胞です。

明るい場所で活躍するのが、色覚を司る錐体細胞です。錐体細胞は、赤、青、緑の光にそれぞれ反応する3つの種類があり、これらの細胞が受け取った光の情報を脳に伝えることで、私たちは色鮮やかな世界を認識することができます。青空の青、夕焼けの赤、新緑の緑など、色の違いを感じ取れるのは、この錐体細胞のおかげなのです。

一方、桿体細胞は、薄暗い場所でもわずかな光を感じ取ることができる、いわば視覚の感度を高める役割を担っています。夜空の星明かりや、月明かりの下でも物の形を認識できるのは、この桿体細胞のおかげです。しかし、桿体細胞は色の識別にはほとんど関わっていないため、暗い場所では、すべての色が灰色がかったように見えてしまいます。

このように、明るい場所では錐体細胞が、暗い場所では桿体細胞が、それぞれ中心的な役割を果たすことで、私たちは周囲の環境に合わせて視覚を調整しているのです。

細胞の種類 役割 特徴
錐体細胞 色覚を司る – 明るい場所で働く
– 赤、青、緑の光を感知
桿体細胞 明暗を感知する
視覚の感度を高める
– 薄暗い場所で働く
– 色の識別はほとんどできない

桿体細胞の感度と青色の強調

桿体細胞の感度と青色の強調

人間の目は、明るい場所では「錐体細胞」、暗い場所では「桿体細胞」という細胞が主に働きます。この2種類の細胞の感度の違いが、「プルキンエシフト」と呼ばれる現象を引き起こします。プルキンエシフトとは、簡単に言うと、昼間は赤や黄色が鮮やかに見え、夕方になると青や緑が鮮やかに見えるようになる現象です。

桿体細胞は、光の強さが弱い場所でも働くことができるため、夕方や夜など、周囲が薄暗くなると、視覚の主役は錐体細胞から桿体細胞へと移り変わります。そして、この桿体細胞は、あらゆる色の光に対して同じように反応するわけではなく、緑色に近い波長の光に最も強く反応します。さらに、青色にも比較的強く反応する性質を持っています。

一方、明るい場所で働く錐体細胞は、赤色や黄色といった長波長の光に最も強く反応します。

このように、桿体細胞は青や緑に、錐体細胞は赤や黄色に、それぞれ感度が高いという特徴があります。そして、周囲が暗くなるにつれて桿体細胞の働きが強くなるため、相対的に青色や緑色が明るく見えるようになるのです。これが、プルキンエシフトが起こる仕組みです。

細胞の種類 働く場所 感度の高い色
錐体細胞 明るい場所 赤色、黄色
桿体細胞 暗い場所 緑色、青色

プルキンエシフトと芸術表現

プルキンエシフトと芸術表現

– プルキンエシフトと芸術表現夕暮れ時、周りの景色が暗くなっていく中で、私たちの目には不思議な変化が起こります。明るい場所では鮮やかに見えた赤い花は、暗がりの中では黒ずんでしまい、反対に、昼間は目立たなかった青い花は、夜になると明るく輝いて見えることがあります。これは「プルキンエシフト」と呼ばれる現象で、人間の目が、周囲の明るさに応じて色の見え方を変えるために起こります。プルキンエシフトは、絵画の世界にも大きな影響を与えてきました。 17世紀を代表するオランダの巨匠、レンブラント・ファン・レインは、明暗を巧みに操る「キアロスクーロ」と呼ばれる技法を用いたことで知られています。彼の作品にしばしば見られる、暗い背景から浮かび上がる人物や静物の描写は、深い精神性を感じさせ、多くの鑑賞家を魅了してきました。レンブラントは、作品に独特の陰影表現を取り入れることで、プルキンエシフトを意識的に利用していた可能性があります。 例えば、彼の作品では、暗い場所に青や緑といった寒色系の色が効果的に使われていることが多く見られます。これは、人間の目が薄暗い場所で青や緑に敏感になるというプルキンエシフトの特徴を踏まえ、より深い奥行きや立体感を表現しようとした結果だと考えられます。このように、プルキンエシフトは、単なる視覚現象にとどまらず、芸術表現にも影響を与えてきたのです。レンブラントの作品に見られる独特の陰影表現は、人間の視覚の奥深さと、それを巧みに利用した芸術家の感性の賜物と言えるでしょう。

現象 内容 芸術への影響
プルキンエシフト 周囲の明るさの変化に応じて、

人間の目の色の見え方が変わる現象

(例: 明るい場所では赤色が鮮やかに見え、暗い場所では青色が明るく見える)
レンブラントなどの画家が、

陰影や色の使い方にプルキンエシフトを意識的に利用することで、

作品に深みと奥行きを与えている可能性

日常生活におけるプルキンエシフト

日常生活におけるプルキンエシフト

– 日常生活におけるプルキンエシフト私たちは普段、何気なく景色を眺めていますが、実はその感じ方は、時間帯によって大きく変化しています。これは「プルキンエシフト」と呼ばれる視覚現象によるもので、絵画の世界だけでなく、私たちの日常生活にも様々な影響を与えています。プルキンエシフトとは、簡単に言うと、明るい場所では赤色が鮮やかに見え、暗い場所では青色が鮮やかに見えるという視覚の特性のことです。人間の目は、周囲の明るさに応じて、色を感じる細胞の感度を変化させています。明るい場所では、主に赤色を感じる細胞が活発に働くため、赤い色がより鮮やかに感じられます。一方、暗い場所では、青色を感じる細胞の感度が上がるため、青い色が強調されて見えるのです。この現象は、夕暮れ時の公園で顕著に現れます。日中は太陽の光が強いため、緑色の草木は鮮やかではありますが、どこか暖色系の色合いに見えます。しかし、夕暮れ時になり、太陽の光が弱まると、今度は青色を感じる細胞が活発化し、緑色の草木は、日中よりもさらに青々とした、深い色合いに変化します。また、夜空を見上げたときに見える星々の輝きも、プルキンエシフトが一役買っています。夜空は暗いため、青色を感じる細胞が非常に敏感になっています。そのため、星の光は、本来の色よりも青白く、キラキラと輝いて見えるのです。このように、プルキンエシフトは、私たちが何気なく見ている景色を、時間帯によって全く異なる表情を見せてくれます。そして、こうした視覚の変化は、自然の美しさに対する感性を高め、より豊かな視覚体験をもたらしてくれるのです。

時間帯 明るい場所 暗い場所
昼間 赤色が鮮やかに見える 青色が鮮やかに見える
夕暮れ時 緑色の草木は暖色系の色合い 緑色の草木は青々とした深い色合い
星の光は青白く、キラキラと輝いて見える