コスメを知りたい
先生、化粧品の成分に『調香師』って書いてあるんですけど、どういう意味ですか? 調香師って人がそのまま入ってるってことないですよね…?
コスメ研究家
良い質問だね! 確かに『調香師』って書いてあったら、びっくりするよね。 実は、これはその香水を作り出した『調香師』の名前が表記されていることが多いんだ。
コスメを知りたい
えー! そうなんですか! じゃあ、有名な調香師さんが作ったら、名前が商品に載るってことですか?
コスメ研究家
その通り! 音楽でいう作曲家、絵画でいう画家みたいに、香りの世界にもプロフェッショナルがいるんだよ。だから、成分表をよく見ると、誰が作った香水なのかがわかることもあるんだよ。
香りの創造者
私たちの身の回りは、実に様々な香りで溢れています。朝、顔を洗う時に感じる爽やかな石鹸の香り。焼きたてのパンやお菓子から漂う、甘く香ばしい香り。そして、大切な日に纏う、華やかで魅惑的な香水の香り…。これらの香りは、私たちの心を和ませたり、高揚させたり、時には懐かしい記憶を蘇らせたりと、目には見えないながらも、日々の生活に彩りを与えてくれます。そして、そんな香りを生み出す、いわば香りの芸術家とも呼べる存在が、調香師です。
彼らは、まるで画家がパレットの上で色を混ぜ合わせるように、様々な香りの素材を組み合わせていきます。バラやラベンダーなどの花々、レモンやオレンジといった果実、そして、ヒノキやサンダルウッドのような樹木など、自然界から抽出される天然香料。その他にも、人工的に合成された合成香料など、その数は数千種類にも及びます。
調香師は、これらの膨大な香りの素材の中から、イメージする香りに合うものを選び抜き、それぞれの特性を深く理解した上で、絶妙なバランスで調合していきます。まるで、美しい音楽を奏でるために、音符を組み合わせる作曲家のように、彼らの仕事は、単に香料を混ぜ合わせるだけでなく、香りのハーモニーを創造していく、まさに芸術と呼べるものです。そして、彼らの生み出す香りは、香水や化粧品、洗剤や柔軟剤など、様々な製品を通して、私たちの生活を豊かにしてくれています。
香りの種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
天然香料 | 自然界から抽出される香り | バラ、ラベンダー、レモン、オレンジ、ヒノキ、サンダルウッド |
合成香料 | 人工的に合成された香り | – |
長年の鍛錬と感性
– 長年の鍛錬と感性香水を作り出す調香師になるには、単に良い香りが好きというだけでは足りません。彼らは、まるで音楽家が楽譜を理解し、楽器を操るように、香りの世界を深く理解し、自由自在に操る必要があります。そのためには、何千種類、何万種類ともいわれる香料ひとつひとつを嗅ぎ分け、その特徴を記憶するという、気が遠くなるような訓練を積まなければなりません。調香師の卵たちは、香料会社や専門の学校で、5年から10年、長い場合はそれ以上の年月をかけて修行を積みます。その間、ひたすら香りを嗅ぎ分け、その香りの由来や成分、他の香料との組み合わせによる変化などを、五感を研ぎ澄まして学んでいきます。まるで修行僧のように、香りの世界に没頭する日々を送るのです。そして、長年の鍛錬によって、彼らは香りの印象を言葉で表現したり、頭の中にあるイメージを具体的な香りの組み合わせで表現する、といった高度な技術を身につけていきます。まるで画家が色を操り、美しい絵画を描くように、調香師は香料を操り、人々の心を揺り動かす香りの芸術を生み出すのです。
調香師になるための道のり | 詳細 |
---|---|
必要条件 | – 香りが好きなだけでは不十分 – 音楽家が楽譜を理解し楽器を操るように、香りの世界を深く理解し、自由自在に操る必要がある |
訓練内容 | – 何千、何万種類もの香料を嗅ぎ分け、特徴を記憶する – 香りの由来、成分、他の香料との組み合わせによる変化などを学ぶ |
訓練期間 | – 香料会社や専門学校で5年から10年、長い場合はそれ以上 |
習得する技術 | – 香りの印象を言葉で表現する – 頭の中にあるイメージを具体的な香りの組み合わせで表現する |
香りの構成
– 香りの構成
香水に使われている香りは、実は単一の成分でできているわけではありません。
爽やかな柑橘系の香りも、華やかなフローラルの香りも、深く甘いオリエンタルな香りも、たくさんの香料を組み合わせて作られています。
そして、その香りは時間と共に変化していくように計算されているのです。
香水は、大きく分けてトップノート、ミドルノート、ラストノートと呼ばれる3つの段階で香りが変化していきます。
最初に感じる香りは「トップノート」と呼ばれ、揮発性の高い香料が使われています。
レモンやベルガモットなどの柑橘系の香りはもちろん、グリーン系の爽やかな香りや、アルデハイドなどによるフルーティで華やかな香りが代表的です。
トップノートは、香水をつけてから5分から10分程度香る、いわばその香水の第一印象を決める香りといえるでしょう。
次に香ってくるのが「ミドルノート」です。
トップノートが揮発した後に感じ始め、30分から2時間程度持続します。
香水の中心となる香りであり、フローラル系やスパイス系など、その香水の特徴が最もよく表れる部分です。
華やかなバラやジャスミン、爽やかなラベンダーなど、香りのバリエーションも豊富です。
そして最後に残るのが「ラストノート」です。
ミドルノートが消えた後も2時間から半日、長いものでは数日香りが持続します。
ムスクやアンバー、サンダルウッドなど、動物性香料や樹脂系の香料が多く用いられ、深みのある落ち着いた香りが特徴です。
ラストノートは、その香水の余韻となり、印象を決定づける重要な役割を担います。
このように、香水は時間と共に変化する香りのハーモニーを楽しむことができるのです。
段階 | 特徴 | 持続時間 | 代表的な香り |
---|---|---|---|
トップノート | 最初に感じる香り、揮発性が高い | 5分から10分程度 | 柑橘系(レモン、ベルガモット), グリーン系, フルーティ, 華やか |
ミドルノート | 香水の中心となる香り | 30分から2時間程度 | フローラル系(バラ、ジャスミン), スパイス系, ラベンダー |
ラストノート | 香水の余韻、深みのある香り | 2時間から半日、長いものでは数日 | ムスク, アンバー, サンダルウッド, 動物性香料, 樹脂系 |
イメージを形にする
香水作りは、まさに芸術です。調香師は、まるで画家が色を組み合わせるように、様々な香料を組み合わせて香りをデザインしていきます。しかし、画家と違うのは、目に見えるものではなく、香りという形のないものを扱わなければならない点です。
まず、調香師は依頼主から、どのような香りを求めているのか、どんな場面で使用したいのか、といった要望を詳しくヒアリングします。春らしい爽やかさ、大人の女性らしいエレガントさ、といった抽象的なイメージを具体的な香りに落とし込むためには、この段階での綿密なコミュニケーションが欠かせません。
イメージが固まると、豊富な知識と経験を頼りに、数千種類もある香料の中から、イメージに合うものを選び出していきます。例えば、春らしい爽やかさを表現したい場合は、レモンやグレープフルーツなどの柑橘系の香料や、草木の緑を思わせるグリーンノートの香料が選ばれます。大人の女性らしいエレガントさを表現したい場合は、バラやジャスミンなどのフローラル系の香料や、ムスクやアンバーなどのオリエンタル系の香料を組み合わせることが多いでしょう。
こうして選ばれた香料を、今度は絶妙なバランスで配合していきます。この作業は、まさに職人技と言えるでしょう。ほんの少しの分量の差が、出来上がる香りに大きく影響を与えるからです。調香師は、イメージ通りの香りが完成するまで、何度も試行錯誤を繰り返します。そして、ついに納得のいく香りが完成した時、調香師は、画家が傑作を描き上げた時と同じような達成感を味わうことができるのです。
段階 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
ヒアリング | 依頼主の要望を具体的に聞き取る | 香りのイメージ、使用シーンなどを共有 |
香料の選定 | イメージに合う香料を選ぶ | – 春らしい爽やかさ:レモン、グレープフルーツ、グリーンノート – 大人の女性らしいエレガントさ:バラ、ジャスミン、ムスク、アンバー |
香料の配合 | 絶妙なバランスで香料を配合 | わずかな分量の差が香りに影響を与えるため、試行錯誤を繰り返す |
私たちの生活を豊かに
私たちは毎日、無意識のうちに様々な香りに包まれています。心地よい香りは、気分転換を促したり、心を穏やかにしたり、時には懐かしい記憶を蘇らせたりと、私たちの生活に彩りを添えてくれます。
こうした香りの魔法を作り出すのが「調香師」と呼ばれる人たちです。彼らは、まるで画家が色を組み合わせるように、様々な香料を組み合わせて新しい香りを生み出します。
彼らの活躍の場は、香水や化粧品にとどまりません。洗剤や柔軟剤、シャンプーや石鹸など、私たちの生活に身近な製品にも、彼らの繊細な感性と技術が活かされています。
例えば、洗濯を終えた時に漂う爽やかな香りは、清潔感とともに心をリフレッシュさせてくれますし、入浴剤の甘い香りは、一日の疲れを癒し、心地よい眠りへと誘ってくれます。
このように調香師は、目には見えない香りという要素を通して、私たちの日々の暮らしを豊かに彩り、感情を揺り動かす、まさに「香りの芸術家」と言えるでしょう。