化粧品の見た目と実際の色：違いの秘密を探る

色の印象を決める「外観色」とは

私たちは、新しい化粧品を選ぶ時、わくわくしながら手に取りますよね。その瞬間、私たちの心を捉えるのは、洗練されたパッケージ越しに見える色、あるいは店頭で実際に手に取った時の、艶やかなその色ではないでしょうか。この、私たちが最初に目にする色のことを「外観色」と呼びます。
ファンデーションや口紅を選ぶ時、まさにこの外観色が重要な役割を果たします。例えば、同じ「ピンク色の口紅」でも、明るいコーラルピンクや、落ち着いたローズピンクなど、様々なバリエーションがありますよね。私たちは、この外観色を見て、その色が持つイメージや雰囲気を感じ取り、「可愛らしい」「大人っぽい」といった印象を抱くのです。
しかし、実際に購入して肌に塗ってみると、「あれ？ 何か違う…」と感じた経験はありませんか？ これは、外観色と、実際に肌に塗布したときの色である「仕上がり色」との間に、微妙な違いがあるため生じる現象なのです。

色の見え方に影響する要素

私たちは普段、何気なく色を見ていますが、その見え方は実に様々な要素によって左右されています。一口に「赤いリップ」と言っても、製品によって色の見え方が異なるのは、配合されている色材の種類や量だけが理由ではないのです。

例えば、口紅の場合、色材と油分の比率が仕上がりに大きく影響します。油分が多いと、色はより濃く、濡れたようなツヤ感が生まれます。反対に、油分が少ないと、マットで落ち着いた印象になります。

また、表面の凹凸も色の見え方を左右する要素の一つです。滑らかな表面を持つものは、光を規則正しく反射するため、明るく鮮やかに見えます。これを鏡面反射と呼びます。一方、表面に凹凸があると、光は様々な方向に散乱して目に届くため、くすんで暗く見えるのです。こちらは乱反射と呼ばれます。

このように、色材そのものの性質に加え、油分の含有量や表面の形状といった要素が複雑に関係し合って、最終的な色の見え方が決まるのです。

外観色と実際の色のギャップ

私たちは化粧品を選ぶとき、パッケージや店頭の見本などで色を確認しますよね。しかし、実際に肌に塗ってみると、見えた色と全く同じように発色するとは限りません。この「見えた色」と「実際に塗ったときの色」、つまり外観色と実際の色の違いが、今回のテーマである「外観色と実際の色のギャップ」です。

外観色は、消費者が商品を手に取る最初の判断材料となり、購買意欲に大きく影響します。鮮やかな赤色のリップスティックや、淡いピンク色のチークなど、私たちは外観色に惹かれて商品を選ぶことが多いのではないでしょうか。しかし、その色があくまで「見えた色」であり、「塗ったときの色」と異なる場合があることを、私たちは認識しておく必要があります。

もし、外観色に惹かれて購入した化粧品が、実際に塗ってみるとイメージと違った場合、購入後の満足度は大きく低下してしまいます。例えば、明るい発色を期待して購入した口紅が、思ったよりも暗く沈んだ色に見えたり、肌に馴染みにくく感じたりすることがあります。このような「色のギャップ」は、消費者の期待を裏切り、製品への不信感に繋がりかねません。

このような問題を避けるため、化粧品メーカーは様々な工夫を凝らしています。外観色で消費者の購買意欲を高めつつ、実際に塗ったときの色味にも満足してもらえるよう、色素の配合や粒子の大きさ、光の反射などを調整し、外観色と塗布色のバランスを考慮した商品開発を行っているのです。

色の見え方を知って、より良い選択を

化粧品を選ぶとき、パッケージや店頭で見たときの色が綺麗だからといって、すぐに決めてしまっていませんか？確かに見た目の印象は大切ですが、色選びは慎重に行う必要があります。

まず、同じ商品でも、光の種類によって色の見え方が変わることを知っておきましょう。例えば、デパートなどの蛍光灯の下では明るく綺麗に見えても、太陽の光の下では少し違って見えることがあります。できれば、自然光の下で確認することをおすすめします。

また、肌の色や質感との相性も重要です。同じピンク色の口紅でも、肌の色が青みがかった方に似合う色と、黄色みがかった方に似合う色があります。さらに、唇の質感によっても発色が変わるので、実際に試してみるのが一番です。

商品のレビューを参考にしたり、店頭でテスターを使ってみたりして、自分にぴったりの色を見つけましょう。色選びに迷ったときは、店員さんに相談してみるのも良いでしょう。自分に似合う色を見つけることで、より一層メイクを楽しむことができますよ。