コスメ研究家

化粧品を保管する容器には、長い歴史の中で様々な素材が用いられてきました。古代では、陶器やガラス製の容器が主流でした。これらは自然素材から作られ、当時としては貴重な存在でした。しかし、重くて壊れやすいという欠点もありました。 20世紀に入ると、鉄や黄銅といった金属が台頭し始めます。これらの素材は、化粧品容器に革新をもたらしました。鉄は強度と加工性に優れており、大量生産にも適していました。そのため、口紅やコンパクトといった、当時としては新しいタイプの化粧品容器に広く採用されました。特に、持ち運びに便利な小さな容器の登場は、女性の社会進出が進む中で支持を集めました。 一方、黄銅は金色に輝く美しい光沢が特徴です。その華やかさから、高級化粧品の容器として人気を博しました。当時の広告などを見ても、黄銅製の容器は高級感や憧れの象徴として描かれていることが多いです。 このように、鉄や黄銅は化粧品の携帯性とデザイン性を高め、新しい時代の到来を告げました。そして、これらの金属容器は、当時の化粧品に洗練されたイメージを与え、人々を魅了したのです。

私たちの肌には、肉眼では確認できないほどの小さな生き物が無数に存在しています。これらは「皮膚常在菌」と呼ばれ、肌の表面で共存し、一種の生態系「皮膚常在菌叢」、別名「肌フローラ」を形成しています。この目に見えない小さな世界の住人たちは、私たちの肌の健康を保つために、重要な役割を担っています。 肌フローラは、大きく分けて「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の３つのグループに分類されます。善玉菌は、肌の潤いを保ったり、外部からの刺激から守ったりする役割を担っています。一方、悪玉菌は、肌トラブルを引き起こす原因となることがあります。そして、日和見菌は、普段はおとなしくしていますが、体調や環境の変化によって、善玉菌にも悪玉菌にもなり得る、ちょっと複雑な性質を持っています。 健康な肌を保つためには、これらの菌たちがバランスを保っている状態、すなわち「菌叢バランス」が整っている状態が理想的です。しかし、このバランスは、様々な要因によって崩れやすく、乾燥や紫外線、ストレス、食生活の乱れ、睡眠不足、過度な洗浄などが、菌叢バランスを乱す原因となります。 菌叢バランスが崩れると、肌のバリア機能が低下し、肌トラブルのリスクが高まります。例えば、乾燥肌や敏感肌、ニキビ、肌荒れなどの症状が現れやすくなります。逆に、菌叢バランスが整っていると、肌のバリア機能が高まり、健康で美しい肌を保つことができます。

- 切れ毛とは？ 切れ毛とは、髪の毛が傷んでしまい、本来の丈夫さを保てずに途中で切れてしまう状態のことです。 私たちの髪は、毎日、紫外線や乾燥、空気の汚れなど、様々な刺激にさらされています。さらに、パーマやヘアカラー、ドライヤーの熱といった影響も受けます。これらの影響によって、髪の毛は表面だけでなく、内部からもダメージを受けてしまい、次第にもろくなっていくのです。 髪の毛がもろくなると、ブラッシングや洗髪時の摩擦に耐えられなくなり、途中で切れてしまいます。これが切れ毛です。切れ毛が多いと、髪の毛全体のツヤが失われ、パサついたり、枝毛が増えたりしてしまいます。また、ヘアスタイルが決まりにくくなるなど、見た目の印象にも影響を与えます。 切れ毛を防ぎ、健康的な髪を保つためには、日々のヘアケアが非常に大切です。傷んだ髪を補修するトリートメントを使用したり、ドライヤーの熱から髪を守るために、低温で乾かすなど、髪への負担を減らすように心がけましょう。

私たちの身の回りには、机、椅子、空気、水など、様々な物が存在します。これらの物は、全て物質と呼ぶことができます。そして、物質を構成する非常に小さな粒子のことを分子と呼びます。分子は、さらに小さな粒子である原子からできています。 原子は中心に原子核があり、その周りを電子が飛び回っています。この電子の偏りによって、分子内に電荷の偏りが生じることがあります。これを極性と呼びます。極性を持つ分子は、まるで小さな磁石のように、プラスとマイナスの電荷を持っています。 極性は目には見えませんが、化粧品成分の働きに大きな影響を与えます。例えば、水は極性を持つ分子ですが、油は極性を持たない分子です。そのため、水と油は混ざり合うことができません。化粧水や美容液など、水溶性の成分は肌に浸透しやすいですが、油性の成分は肌表面を保護する役割を果たします。このように、化粧品成分がどのような働きをするかは、その成分の極性によって大きく変わるのです。